大好きなあいつは、もうここにはいない
仕事帰りいつものコンビニで私はあいつを探していた。
大好きなあいつだ。
仕事終わりのこの疲れを癒してくれるあいつは、いつも安定の位置を陣取りながら私の帰りを待っているように思えた。私に買われるをじっと待っている。健気な奴なのである。
この仕事を始めてから、肉体労働プラス感情労働(人を相手にする職業)でいつも疲労していて甘く包み込んでくれる存在は私の癒しとなった。
前から好きだったけど、なくてはならない存在に急上昇していたのだ。
そんなあいつなのだが……最近、いないのだ。棚の入れ替えで別の場所にいったのかもと探してみたのだがいない。
週2〜3回は必ず、ひどい時は毎日お買い上げしていたくらいヘビーユーザーだったのにだ。最初は売り切れちゃったあいつを思うと人気者めと悔しかったが、値札さえどこにも見当たらない。あいつ自体もうなくなってしまったのではないかと心配になった。
セブンイレブンめ、あいつを出せ。
小心者の私は、呟いた。
けれど、一向に出てくる気配はなかった。来る日も来る日も通いつめるが、あいつがいた棚には別の奴が整然と整列している。前に誰がいたのかさえ知らん顔だった。
こんなに売り上げに貢献していたのに敢えなく切り捨てるコンビニが恨めしかった。
会社の人が旅行にいったらしく、愛媛で美味しいあいつに出会ったらしい。「あぁ、それをお土産にすればよかった」というくらいおすすめだったらしい。
その話で盛り上がり、私はあいつがコンビニになくて悲しいという話をした。
そしたら、「あるで?」というではないか。
どこに!!
私の行きつけにはないんだもん。出せ!
行きつけのコンビニにいくのをやめて、別のコンビニに会いにいった。
そしたら、いるではないか。私がこんなにも恋焦がれていることさえも知らないよという顔で……。
ちょっと、憎らしくもあったが久しぶりに会えた安堵感、手にとった感触は以前のまま変わっていなかった。何も変わっていないのだ。
あぁ、もうこの世にいないのでは……と心配した。
もう、会えなくてもこの世にいてくれるだけでいい。そう思った。
なぜか、私の好きになる奴はことごとく私の前から消えるのだ。忽然と姿を消すやり方で大好きなものは消えていく。
トラウマはないと言われつつも、過去に囚われているように思うのだ。できれば、毎日大好きなものに囲まれてくらしたい。
それはささやかな願いではないのか?叶わない願いなのか?
小心者の私は、ビクビクしながら生活している。もう、去られて傷つきたくない。
愛し、愛されて生きたい。
そう、私の芋けんぴ熱は止まらない。
大好きなブロガーさん見つけた。コンビニに抱かれまくっている私は毎日淫乱な生活をしているのかも知れないw
この人の書く文章、好きだー。