マイペンライ!
「Hi!」
ニッコニコの笑顔を私に向け、石鹸臭のする外人(敬意を込めてそう呼ぶ)が近づいてきたのだ。
私はとっさに、誰か私と似た人と間違えているのではないかと思い緊張した。
明らかに私の顔は赤くなっているなというのがわかり焦りを隠せないでいた。
そんな私の態度とは裏腹にその外人は笑顔で何かを伝えようとしていた。黒いポーチからなにやら取り出し、私の充電しているアダブタを指差して自分のUSBのコードを見せたのだ。
私の横の座席のおばさんも私が困っていることを察し、助け舟を出そうとしてくれていた。しかし、残念ながら彼の話す英語はわからなかった。
私の充電アダプタにはUSBを挿すところが二つある。それを彼は指さしていた。
「あ、充電したいのだな」ということがわかり、空いているUSBポートに彼のUSBコードをさしてあげた。
彼はニッコニコの笑顔と外人がよくする愛想良い仕草をしながら「Thank you」と言って私の席から少し離れたところに座った。
私は友達と待ち合わせをしていてあと10分くらいでその子は到着するようだった。
充電がそんなにできないよということを伝えなければいけないよなとか思いながら読書を続けていた。
友達も到着したが、すぐに動けないことを説明しご飯をどこに行くのか相談することにした。
すると、彼がいきなりやってきて充電している棒みたいなやつにスマホをくっつけて(セルカ棒みたいなやつ)動画を私に見せ始めた。私の席の隣のおばさんも興味深そうにその動画を見つめた。そこは日本のどこかで動画を撮って旅をしている人らしかった。どこの動画を撮っているのかできないなりに単語を並べて聞いてみたが、通じてないことだけははっきりした。おばさんもできないなりに「日本は好きですか?」なんて聞いてみたりしていた。動画は素晴らしく日本の原風景などを映し出していた。
やっぱり、最近は写真より動画の方が流行ってるんだなということがよくわかった。
もっと話したいなと思ったが私の英語力では太刀打ちできそうになかった。
「あと、10分だけ」と英語でそのようなことを彼は言ったので「いいよ」とだけ答えた。
10分経つと、彼はまた私の方にやってきて「ありがとう」と日本語で言った。
「いいえ、バァイ」なんてフレンドリーな挨拶をかわし彼は去って行った。
なんだか、気さくな外人だなと思った。横のおばさんも「全然知らんのに、よく話しかけて充電とかしてもらってるんやろね。(私のアダプタをさし)こういうの持ってないとあかんよね。すぐバッテリーなくなりそうやもん」と言っていた。
私みたいな用意周到な人間は、こだわっていろんな道具を持って行ったりするんだろうけど。普通はテキトーになければ借りればいいやって思えばいいのかもしれない。
少しのひとときだったが、貴重な経験をしたなと思う。最近、本当に話しかけられることが多い。
京都も外人パラダイスみたいで、いろんな国から来られている。
外貨を稼ぐには好都合かもしれないが、人も多様化していた面白い。
GAPでは店員さんに間違えられるという珍事もあって面白かった。そんなに店員みたいだったのかと思い返すと、ジーンズに紺色のセーターはGAP臭が漂っているかもしれない。